こんにちは!マリオです。いつもブログの閲覧ありがとうございます。
難聴作業療法士が総合病院や老健、訪問で働いている経験から「作業療法士になりたい学生」や「作業療法士で働いている方」向けに明日から使える知識や体験談をわかりやすく話していきたいと思います。
臨床をしていると麻痺の治療法っていろんな方法があってどれを行えばいいか迷いますよね?
促通反復療法や電気刺激療法はどこか患者さんが受動的な治療法になっていると思っているセラピストも多いのではないでしょうか?

上肢機能訓練で促通反復療法はわかったけど患者さんが主体的になれるいい治療法はあるかな?

徒手的な治療法ではなく患者さんの行動変容を促せる治療法があるよ!今日はその一つCI療法について話していくよ!
今回は、患者さんの行動変容を促せるCI療法について今回は話をしていきます!
CI療法とは?

CI療法って何?

CI療法は、UABのTaubらが開発した、心理学を背景にもつ治療体系だよ!機能を改善させるだけでなく日常生活へ汎化させるアプローチ方法になるんだ!
CI療法の最も重要なゴールは、臨床場面で獲得した上肢機能を対象者のADLに転移させることだと述べている。このように、CI療法は「機能」を向上させることが目的でなく、麻痺手にかかわる対象者の「行動変容」を最終的な目的ととらえている。
道免和久ら 行動変容を導く!上肢機能回復アプローチ-脳卒中上肢麻痺に対する基本戦略- 2018年 医学書院 P7
CI療法とは
・学習的不使用と学習理論に基づいた患者教育
・患者自身の問題解決能力の向上(メタ学習)
・使用による上肢機能の向上
・緻密な作業分析と作業フォームの調整
・様々な療法の併用
このことから麻痺手が不使用にならないよう自身で問題解決を行い緻密に作業分析と訓練を行うことで患者さん自身の行動変容を促すアプローチであることがわかるかと思います。

CI療法はどんな人に適応する治療方法なの?機能レベルによっての適応とかあるの?

もちろんあるよ!わかりやすく下記にまとめてあるからチェックしてみてね!
身体機能:母指を含む3本指のIP、MP関節伸展10°以上
手関節背屈20°以上=物品を握って離せるか(例ティッシュ1枚を握って離せればOK!)
認知、高次脳機能:認知症や高次脳機能障害、重大な合併症がない
対象疾患:脳卒中、脳外傷、脳性麻痺、失語症、脊髄損傷、ジストニアなど
重症度:重度の患者さんでもCI療法の効果を証明
このことから可動域の確保と認知・高次脳機能が保たれていれば重度の麻痺でも実施できることがわかります。
CI療法の効果とは?

CI療法はどのくらい効果があるの?

CI療法の効果は、脳卒中治療ガイドラインでグレードAと言われているよ!いろんな研究論文があって急性期、回復期、生活期のそれぞれの時期で効果があると言われているよ!その中でもQOLの向上につながったという文献もあるから下記をチェックしてみてね!
「麻痺が軽度の患者に対しては、適応を選べば、非麻痺側上肢を抑制し、生活の中で麻痺側上肢を強制使用させる治療法が勧められる(グレードA)脳卒中治療ガイドライン2015 一部抜粋 ホームページ確認」
「CI療法の副次的な効果について、WuらやLinらはCI療法を実施した群と通常の上肢機能アプローチを行った群を比較し、CI療法が対照群に比べてSISにおいてQOLに有意な改善があったと報告した。」
道免和久ら 行動変容を導く!上肢機能回復アプローチ-脳卒中上肢麻痺に対する基本戦略- 2018年 医学書院 P14
このことからも上肢機能の改善だけでなくQOLの改善にも効果があることがわかるかと思います。
CI療法の方法とは?

身体機能だけでなくQOL向上にも効果があるんだね!CI療法は実際にどうやるの?

CI療法は主に、課題指向型訓練、問題解決能力訓練(Transfer Package)のプログラムがあるよ!細かく説明していくね!
課題指向型訓練とは?
実際の生活動作に近しい課題を用いた訓練を行うことをいいます。
課題指向型訓練を行う上で大事になるのが目標設定・作業分析・難易度調整の3つが大事になります。
目標設定
目標設定する上で作業を選択するポイントがあります。
作業を選択するポイント
・意味があること
・本人にとって大切なもの
・必須のもの
・惹きつけるもの
上記を考慮しながら目標設定を行います。
目標を設定する上で療法士中心でなく患者さん中心に目標共有を行うことが大事になります。
目標は、「活動・参加レベルで具体的で達成できる目標を共有すること」が大事です。
また、患者さんに目標を自己決定させることで動機づけにも繋がります。
作業分析
目標設定を行ったらその作業を分析する必要があります。作業を分析することで次に話す難易度調整が行いやすくなります。
難易度調整
難易度調整には訓練の段階付けが必要になります。
訓練の段階づけのポイントとして「空間の中での位置、物品の特徴、周辺環境を考慮しながら適切な作業フォームで行うこと」が大事になります。難易度が70%だと学習効果がつきやすいとも言われています。
患者さんの機能に合わせ、例えば物品の位置が低い・近い位置に配置し関節運動を少なくすることや掴みやすい物品の選択、掴みやすいよう物品の下にタオルや滑り止めシートを敷くなど難易度調整を整えていく必要があります。
問題解決能力訓練とは?(Transfer Packageを中心に)
目的:ADLにおける麻痺側上肢の使用頻度や動作の質の改善といった麻痺側上肢の行動変容を促すこと
方法:集中的な訓練や、日常生活における麻痺側上肢の使用を通じて、麻痺側上肢の現状や問題を対象に理解させ、それらの問題を解決するための技法を指導する方策
具体的な方法
1.麻痺手を使う約束
・CI療法によって達成したい意味のある目標を10項目決めそれを実現するために訓練を組み立てる
・10項目の目標の他にも麻痺手を使う場面をできるだけ想定し、麻痺手を使う
2.麻痺手に対するセルフモニタリングの促進
・対象者に麻痺手の使用状況を把握させる
3.問題解決技法
・実生活場面で使用する際に、麻痺手を使用し易い環境を作る方法や工夫を指導する
患者さん自身に目標決定させ療法士と患者さんが共同作業で訓練を行っていくことで訓練効果が得られます。自身でセルフモニタリングして行うことで退院後、療法士から離れても訓練効果が持続するとも文献では言われています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
CI療法は上肢機能の身体機能の部分だけでなく、患者さんとの目標共有やセルフモニタリングを行っていくことで麻痺手に対する動機づけも図れる療法になります。自身での管理ができるようになるため退院して療法士がいなくなっても効果が持続される治療法になります。
ぜひ、治療手段の一つとして参考にしていただけたら幸いです!
また今後も作業療法士についてもっと詳しく知りたい方はコメントしてもらえたらと思います。
次回もブログを楽しみにしてくださいね!!
ではまた!皆様にとって明日がいい日でありますように!
コメント