こんにちは!ギバシです!
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
今回は、作業療法士が臨床で必ず直面する「痛み」についてお話ししたいと思います。

「ギバシさん、この患者さん、痛みが強くて全然リハビリに乗り気じゃないんです…。どうしたらいいんでしょうか?」

「うん、それはよくある悩みだね。『痛みがある=動けない』って捉えてしまう患者さん、すごく多いよね。」

「そうなんです。炎症とか明確な原因が見つからないのに、“痛い”って言われると、どう対応したらいいのか…」

「実はね、“痛み”には身体的な痛みだけじゃなく、“心の痛み”も関係しているんだよ。今日はその話をしてみようか。」
🧩痛みとは?
まず、痛みは大きく分けて**「器質的疼痛」と「非器質的疼痛」**の2種類があります。
●器質的疼痛
体のどこかに明確な損傷や炎症がある場合に起こる痛みです。
代表的なのは以下の2つです。
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炎症性疼痛:外傷や火傷などの炎症によって侵害受容器が刺激されて生じる痛み。
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神経障害性疼痛:中枢または末梢の神経が損傷・変性して起こる痛み。
●非器質的疼痛
一方で、明確な器質的異常がないのに痛みを訴えるケースもあります。
これは「心因性疼痛」などと呼ばれ、心理的・社会的要因が痛みに影響していることが多いです。
今回は、この「非器質的疼痛=心因性の痛み」に焦点を当てていきます。
💭痛みには“心の要素”がある
これから話す内容は、**「認知行動療法(CBT)」**の考え方を理解しておくとより分かりやすい内容になっています。
認知行動療法についての解説記事を下に貼っておくので、ぜひ合わせて読んでみてください👇
人は痛みを感じた瞬間に、「感情」が動きます。
例えば――
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「これ以上動いたらもっと痛くなるかも…」→ 不安・恐怖
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「痛いけど、まぁ我慢できるな」→ 受け入れ
前者のように「痛み=危険」と捉えると、人は行動を避けるようになります。
このように、痛み体験を過度に悲観的に受け取ることを**破局的思考(catastrophizing)**と言います。
破局的思考が強くなると、
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不安・恐怖の増大
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活動量の低下
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抑うつ傾向
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さらに痛みの悪化
という負のスパイラルに陥ってしまうのです。
まさに「痛みの悪循環」。ここに介入できるのが、私たち作業療法士なんです。
🩺痛みを減らすには?
では、どうしたら痛みを軽減できるのか。
ステップごとに整理していきましょう。
Step1:器質的疼痛の再確認
炎症や組織損傷がないかを確認します。(例:CRPや画像所見、触診など)
リハビリの評価だけでなく医師の診断も参考に確認するのが望ましいです。
Step2:痛みの捉え方を把握する
器質的異常がない場合は、「痛みに対する認知」に着目します。
たとえば――
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「動くと痛いから絶対動きたくない」→ 全か無か思考
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「動いたら痛くなりそう…」→ 先読みの誤り
こうした思考パターンを理解することが、痛み治療の第一歩になります。
思考パターンにはたくさんの種類があります。種類に関しては、今度の記事にでも記載するのでぜひチェックしてみてください!
Step3:考え方・行動を変えていく
痛みに対して「避ける」ではなく、「うまく付き合う」方向へ促す。
そのプロセスで効果を発揮するのが作業療法的アプローチです。
🧠作業療法が果たす役割
痛みに対する作業療法では、次のような流れでアプローチしていきます。
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作業の特定:「どんな作業で痛みが出やすいのか」「どの場面で回避行動が出るのか」を把握。
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感情の確認:「痛みが出たとき、どんな気持ちになるのか」を共有。
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作業分析と代償手段の検討:「痛みを減らす工夫」や「別のやり方」を一緒に考える。
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小さな成功体験を積む:「できた」という感覚が自己効力感を高め、行動を前向きに変える。
ここで重要なのは、セラピストが主導しすぎないこと。
患者さん自身が納得し、「自分で決めた」と思えるプロセスが最も効果的です。
✨まとめ
今回のポイントを整理します👇
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痛みには身体的な要因だけでなく、心理的要因も関与する。
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「破局的思考」は痛みを悪化させる。
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作業療法では「作業分析」「感情共有」「自己決定支援」を通して痛みに介入できる。
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患者さん自身が成功体験を積むことで、痛みへの捉え方が変わる。
いかがだったでしょうか?
「痛み=炎症だけの問題」と捉えていた方も、少し見方が変わったのではないでしょうか。
痛みの背景には「感情」「思考」「行動」のつながりがあり、
それをほぐしていくのがまさに作業療法士の真骨頂だと僕は思います。
ぜひ今回の内容を臨床に取り入れて、患者さんとの関わりに役立ててください。
ペインリハビリテーションの考え方についてわかりやすく書いてある本が下記になります。ぜひ参考にしてみてください!
ではまた!
明日が皆さんにとって幸せな一日になりますように🌿


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