
「ギバシ、精神科の作業療法って具体的にどんなことをするの?身体リハビリと違ってイメージが湧きにくくて…」

「いい質問だね。精神科では“心のリハビリ”とも言える支援を行うよ。薬物療法やカウンセリングだけでは補えない“生活”や“社会参加”を支えるのがOTの役割なんだ。」

「なるほど…!じゃあ、作業療法士はどんな形で患者さんに関わるのー?」

「では、精神科作業療法士の役割を整理してみよう。」
精神科作業療法とは
精神科作業療法は、作業活動を通じて「心の安定」「生活機能の回復」「社会参加の促進」を目指す治療的アプローチです。
身体領域のリハビリが「動作能力の改善」を中心とするのに対し、精神科では「対人関係」「自己表現」「役割遂行能力」など、心理社会的な側面に焦点を当てます。対象となる疾患は統合失調症、うつ病、双極性障害、不安障害など多岐にわたります。
作業療法士の主な役割
精神科領域でのOTの役割は多岐にわたります。代表的なものを整理すると以下の通りです。
- 信頼関係の構築
精神科では治療同盟が不可欠です。傾聴・共感を通じて「安心できる場」を提供し、患者が自己表現できる基盤をつくります。 - 作業活動を通じた支援
手工芸、園芸、調理、音楽、運動などを媒介に、達成感や自己効力感を高めます。活動は「治療的作業(therapeutic occupation)」として位置づけられます。 - 日常生活スキル(ADL・IADL)の回復
食事・清掃・金銭管理・買い物など、退院後の地域生活を見据えた生活訓練を行います。
- 社会参加・就労支援
デイケアや地域活動への参加を促し、模擬作業やSST(Social Skills Training)を通じて就労準備を支援します。 - チーム医療の一員としての役割
医師・看護師・心理士・精神保健福祉士と連携し、患者の生活全体を見据えた包括的支援を提供します。
精神科作業療法の魅力と難しさ
精神科作業療法の魅力は、患者の小さな変化を共に喜べることです。例えば「表情が少し柔らかくなった」「活動に自ら参加するようになった」といった変化は、回復の大きな兆しとなります。
一方で、効果が数値化しにくく、長期的な関わりが必要になる難しさもあります。そのため、エビデンスに基づく実践と、臨床現場での柔軟な対応の両立が求められます。
評価を数値化するために個人の健康状態や活動・参加の困難さを評価する「WHODAS」といった評価や不安の評価を数値化する「HADS」といった評価があります。これらを使用して数値化し機能の改善を見える化することでメンタルの改善が図れることもあります。
まとめ
精神科作業療法士の役割は、患者の「こころの回復」と「社会生活の再構築」を支えることにあります。 医療従事者や学生にとって重要なのは、作業療法を「単なる活動」ではなく「治療的介入」として理解することです。 患者の生活に寄り添い、社会復帰を支える存在――それが精神科作業療法士です。
作業療法士についてもっと詳しく知りたい方はコメントしてもらえたら嬉しいです。
また次回もブログも楽しみにしてくださいね!!
ではまた!皆様にとって明日がいい日でありますように!
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